研究内容

近年、全身の臓器がエネルギー代謝とホルモン産生を担うことが明らかになるにつれ、内分泌学の概念と領域はますます拡大しています。

内分泌・代謝内科学教室は、下垂体、甲状腺、副腎はじめとする古典的内分泌臓器に関連した内分泌疾患、および膵・消化管ホルモンが複雑に絡む糖尿病の臨床、研究、そしてそれらを通じた教育を担当しています。

古くて新しいこの領域に関心をお持ちの学生、研修医、基礎研究者のみなさん、ぜひお問い合わせください。

  1. 私たちは糖尿病・肥満症の病態を形成する代謝経路と鍵分子を同定し、その知見に基づいて、生活習慣病に対する早期診断と先制・最適医療実現のための新しい診断・治療技術創出を目指します。さきがけ研究員を兼務する御簾博文准教授を中心に、ヘパトカインの新規作用とそれを担う受容体とメカニズム解明を通じて、2型糖尿病の新病態を明らかにする基礎研究が進行中です。糖尿病・肥満症患者の肝臓から分泌されるセレノプロテインP(Cell Metab 2010)およびLECT2(Diabetes 2014)を同定し、肝臓由来生理活性分子「ヘパトカイン」と総称しました。セレノプロテインPが2型糖尿病や老化で観察される、インスリン抵抗性(Cell Metab 2010)、血管新生抵抗性(Diabetologia 2014)、運動抵抗性(Nat Med 2017)をはじめとする多様なシグナル抵抗性を形成することを見出しました。これらの知見は、肝臓もまた内分泌臓器であり、ヘパトカイン異常分泌を介して、糖尿病や肥満症の病態形成に深く関わっていることを示唆し、多くの研究領域に影響を与えています。

    肝臓由来ホルモン「ヘパトカイン」による2型糖尿病の病態形成
    肝臓から分泌されるセレノプロテインPは還元ストレスを介して、2型糖尿病でみられるインスリン抵抗性、血管新生抵抗性、運動抵抗生を形成する。
  2. 糖尿病・肥満症の病態解析、糖尿病薬のエビデンス構築に向けたユニークな臨床研究を進めています。竹下有美枝助教は、スイス・ジュネーブのWHO本部に出向し、国際保健医療を学んできました。今後の新展開が期待されます。
  3. 2016年4月より金沢・千葉・長崎大学の3大学共同先進予防医学研究科がスタートしました。公衆衛生学教室と連携して、能登地区で前向き追跡コホート研究進めています。詳細な栄養実態調査、脂肪肝、骨密度、体組成、インスリン抵抗性、微量元素、ヘパトカインレベルなど、通常の検診では測定しないユニークな項目を評価し、健康状態との関連を検討しています。将来的には疾病の発症に関わるゲノム背景と環境因子のクロストークを担う因子を絞り込むことで、生活習慣病に対する先制医療に資する新規診断・治療法の開発を目指します。

    先進予防医学研究で解明を目指す日本人の生活習慣病病態
    金沢大学先進予防医学研究科では、石川県志賀町と「生涯一貫型・全住民参加型健康づくり」の推進協定調印を交わし、平成25年度より新規前向き追跡コホート研究を開始しました。通常の検診では測定しないユニークな項目を評価し、栄養摂取や疾病との関連を検討しています。今後、能登地区の病院コホートと統合データベースを構築し、前向きに疾病発症を追跡する予定です。将来的には、次世代シーケンサーを用いて遺伝子多型、末梢血発現遺伝子、エピゲノム修飾、エキソソーム中のマイクロRNA、腸内細菌叢を解析し、疾病の発症に関わる体質的背景と環境因子のクロストークを担う因子を絞り込みたく思います。